平昌オリンピック金メダリストの小平奈緒選手。
日本勢初の総合2連覇をめざして、中国で行われた世界スプリント選手権に出場。
快挙達成目前で、体調不良のため、無念の棄権という、残念な結果に終わった。
小平選手のファンである筆者は、今回の結果が残念でならない。
もちろん、一番悔しいのは、小平選手本人であることは、間違いないこと。
この文章では、小平奈緒選手の心中を思いながら、今回の棄権を誘発した、
原因について書いてみたい。
目次
マスコミ各社は、事実関係のみの報道
小平奈緒選手が、世界スプリント選手権が行われた中国から帰国した。
マスコミ各社の報道記事では、
到着した羽田空港に報道陣を含め、100人を超える人が出迎えたが、
マスク姿の小平選手は、無言のまま空港を後にした。
と、帰国の様子のみ、報じている。
体調不良で棄権した前日、翌日、帰国時の記事では、
関係者や報道陣からの、小平選手への気づかいや配慮を、読み取ることはできなかった。
マスコミは、事実関係に基づき忠実に報道することが大前提。
それは、筆者も十二分に承知している。
がしかし、問題視したいのは、報道に至る取材のあり方。
筆者は、前々から、マスコミのアスリートへの取材や報道の仕方に大きな違和感を感じていた。
特にTV局の報道姿勢に。
スポーツ選手が、スポーツや報道番組のインタビューを受けたり、出演すること自体は、問題ない。
むしろ、一流選手が、高度な技や技術を、どのようにして体得したのか。
トレーニング方法は? 生活環境は? 日常生活の過ごし方は?
視聴者が知りたい情報を、じっくりと細やかに紹介する、ドキュメンタリー番組なら、大歓迎。
ドキュメンタリー番組には、アスリートとしての選手に対し、リスペクトと配慮が感じられるからこそ、
視聴者は、選手個人のみでなく、競技そのものに興味と感心を持つ。
だから、そんな番組は、視聴者に支持される。
しかし、平昌オリンピックが終わった後、帰国した選手たちを待っていたのは、
マスコミ各社の過剰とも思える取材攻勢。
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選手の発したコメントが感動を呼ぶ
メダルを獲得した選手、取れなかった選手も。
ほとんど、全部の選手が試合後のインタビューで口にしたのが、
関係者や応援していただいた方への感謝の言葉。
そして、自分が活躍することで、競技そのものの認知度を高めたい、という思いを語っていた。
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「閑話休題」
銅メダル獲得で一躍注目を集めた、カーリングでも、
会見時、選手たちは、感謝の言葉のあと。
「今まで、カーリングは4年に一度、注目を集める競技といわれてきた」
「今回のメダル獲得で、注目されたが、もっと認知度をあげるために、これからも頑張っていきたい」
という趣旨の発言をしていた。
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だからこそ、選手たちは、自分や競技を知ってもらいたいという使命感をもって、
疲れていても、無理をしてでも、TV出演を繰り返したのは、想像にかたくない。
TV放送局が反省すべき番組編成
朝から晩まで一日中、記者会見や取材に追われ、
各TV局のワイドショーやニュース番組に引っ張りだこで、たらいまわしに出演。
一部の選手は、バラエティ-番組にも出演し、興味本位で競技に関係ない、
質問やゲームに参加させられてもいた。
筆者が目にし、最もあきれたのは、海外の試合に出場する選手を空港まで追いかけ、
出発直前の選手に人気芸能人が、プレゼントを渡したり、質問したりするシーン。
(幸いにも、選手たちが終始、笑顔で受け答えしていた姿が救いだった。)
過密スケジュールの選手達
小平選手の場合、オリンピック後帰国してから、国内滞在時間は41時間。
滞在2日の間、取材とTV出演に追われ、すぐに世界スプリント選手権出場のため、中国へ出発した。
高梨沙羅選手やジャンプ陣、スキーモーグルの原大智選手など、
多くの選手が、国内の過密スケジュールをこなし、海外の試合へ飛び立った。
オリンピックのすぐ後、休む間もなく、海外の試合に出場する選手たちのすごさに驚くが、
最も驚いたのは、ノルディックスキー複合の渡部暁斗選手。
オリンピック大会後、帰国せずそのまま、ヨーロッパの試合に出場。
肋骨を骨折していたことを明かさず、オリンピックで銀メダル獲得。
その精神力には、脱帽と称賛の言葉をあげるほかない。
まとめ これからの報道に望むのは
この文章は、今回、小平選手の棄権という、残念な結果が引きがねになってしまったが、
スポーツ選手たちに対する、マスコミの取材姿勢に警鐘を鳴らし、反省を促すことを趣旨として書いてきた。
この文の中盤に、
筆者は、前々から、マスコミのアスリートへの取材や報道の仕方に大きな違和感を感じていた。
と書いたが、
これから、マスコミや競技団体には、
「スポーツや選手の活躍には、見る人に感動を与え、希望や憧れをいだかせ、社会を明るく元気にする力がある」
という認識の上、アスリートとして選手たちをリスペクトし、配慮をもって、報道していただことを願って、
この文を終わりとしたい。
ご拝読に感謝。