2018年正月3ヶ日もアッという間にすぎ、日常の忙しい日々が戻ってきました。
お正月のスポーツといえば、元日のニューイヤー駅伝に始まり、
2.3日の両日は箱根駅伝と駅伝観戦がすっかり正月の風物詩になった様で、
自宅でお屠蘇とおせちをつまみながら、TV観戦を楽しんだ方も多くおられたことでしょう。
特に箱根駅伝は、関東地区でTV視聴率が往路29.4%で歴代1位。
復路でも29.7%で歴代3位をたたき出していて、人気の高さを裏付けました。
そのせいか、レースが終わった数日が立った今でも、
スポーツニュースは、総合優勝した青山学院大学を始め、優勝候補だった
東海大学や神奈川大学の敗因など、いろんな視点が記事になっています。
そんな駅伝人気の盛り上げに一役買ったのが、昨年末にTV放映され、
大人気ドラマになった「陸王」だろうと一人納得した筆者。
この記事では「陸王」でえがかれ、注目を集めたマラソンシューズをめぐるエピソードが
実際に箱根駅伝の舞台裏でも展開されていたことをご紹介して行きたいと思います。
スポーツ観戦の楽しみ方は、人それぞれ。
ランナーだけでなく、指導者やサポートする
企業の思惑や競争などがわかって見るとでは、スポーツの楽しみ方が違ってきます。
この文章で新しい駅伝の楽しみ方を発見していただけると幸いです。
それでは始まり始まり。
目次
「厚底vs薄底」シューズの戦いが展開されていた
1月2日、目覚めてスマホを見ていると
箱根駅伝「薄底vs.厚底」靴の知られざる闘い
ナイキ驚異のイノベーションが歴史を変える
という東洋経済の記事が目につき、そのタイトルにひかれて、読んでみると
まさしく、舞台裏でリアルに「陸王」でのシューズ対決が起こっていることが
紹介されていました。
記事中ではナイキが開発した厚底シューズ「ウェイバーフライ4%」を
東洋大学の選手が履いていて、従来の薄型シューズを履く、青山大学との
シューズ対決もみどころだと紹介。
今回の箱根では、シューズを注目してみるとかなり楽しめる。
区間賞を取った選手がはいているシューズはどこのメーカーか?
シューズによって、走り方が違うなど、新しい見方が楽しめる。
思わぬ選手が大活躍するかもしれない。
と、如何にも、東洋大学の躍進を暗示するような内容になっていました。
そして、すぐにTVをつけてみると、
なんと、記事で読んだ内容が再現されています。
思わぬ選手の一人だったであろう、
1区の東洋大学1年生、西山選手が見事な区間賞獲得。
その後も東洋大学の選手は、一人もミスすることなく、
最終5区まで首位を譲らず、圧勝の往路優勝。
こうして、シューズ対決第一ラウンドは、厚底シューズの圧勝。
薄底シューズの青山学院の底力
第二ラウンド復路は薄底シューズの青山学院大学が意地を見せ、
復路と総合優勝を飾り、底力を見せつけました。
総合4連覇の偉業はアッパレで、
やはり、総合優勝を飾るためには、選手層の厚さが勝負の分かれ目ということを
ライバル校に見せつけました。
往路で躍進した東洋大学も復路まで、有力選手を回すことができず総合2位。
それでも、10年連続で3位以内という安定した力を示しました。
東洋大学の酒井監督が、箱根ではニューヒーローが生まれると、レース前に語っていたと
紹介されていましたが、まさしく生まれたヒーローが1区の西山選手。
1.2年生中心の東洋大学が、厚底シューズ「ウェバーフライ4%」を履きこなし、
各人が4%の走力アップを図れば、来年はまさしく優勝候補の一角でしょう。
厚底代表 東洋大学
薄底代表 青山学院大学
来年のシューズ対決第二ラウンドを見るのが楽しみになっています。
マラソンや駅伝の楽しみ方が変わった
筆者は、例年であれば、長丁場のレース中、新聞を読んだり、居眠りをしたり、
初詣に出かけたりで、全区間を通してみたことはありませんでした。
ところが今年は、陸王のシューズ対決リアル版ということで、
走り方だけでなく、シューズが気になり、画面にくぎ付け状態。
最後まで、目を離さず、レースを堪能することができました。
厚底ウェバーフライ4%が日本長距離陸上の意識改革を促す
そんなシューズ対決の楽しみ方を演出した、
ナイキの厚底シューズ「ウェイバーフライ4%」は、
ナイキが開発したソールの分厚いシューズ。
ウェイバーフライ4%の開発は、
ナイキがフルマラソンを2時間以内で完走することを
目標とする「ブレイキング2」というプロジェクトを立ち上げた際に発表されたそうです。
ブレイキング2でのトライアルの結果は、
2017年5月に「2:00:25」という人類最速のとてつもない記録が生まれ、
当然、このニュースは、世界中を驚かせました。
ところが、日本陸上界には、分厚い靴は日本人に合わない」「薄ければ薄いほどいい」という定説が根強く、
「あの厚底シューズは、アフリカ勢や欧米人向けで日本人には合わない」
と気になる程度の反応だったそうです。
(筆者も、この記録は、新聞で読んだような気がしますが、
全く、別次元の記録として、記憶に残ってませんでした。)
そんなウェイバーフライ4%が日本陸上界で注目を集めたのは、、
ナイキ・オレゴン・プロジェクトの大迫傑選手が
2017年4月のボストンマラソンで3位入賞という快挙を遂げた時に
履いていた「あの厚い底のシューズは何だ?」と話題になったことからになります。
9月には、箱根駅伝でも大活躍した双子のランナー設樂悠太選手が
チェコのハーフマラソンで日本新記録をたたき出し、
その1週間後にベルリンで2時間9分台の自己新記録をマーク。
日本新記録を樹立した翌週にまた、フルマラソンで自己ベストの快挙で
あの靴は、ダメージを残さないスゴイシューズだと、一気の注目を集めました。
そして、11月には大迫傑選手が福岡国際マラソンで3位になる快挙達成。
福岡国際マラソンでは、大迫傑選手のフォアフット走法が話題を集め、本ブログ内の記事でも紹介していましたが、
3位入賞快挙の立役者はウェバーフライ4%だったんですね。
今年の箱根駅伝でのウェバーフライ4%を履いた東洋大学の躍進は、
既成観念に凝り固まっていた、日本陸上界に意識改革の重要性を投げかけたことでしょう。
陸上競技のコアのファンでない一般の人にも、陸王や箱根駅伝で繰り広げられた、
シューズ対決の話題は、陸上競技の面白さを知ってもらう良いきっかけになったことでしょう。
筆者も今回の箱根駅伝は、本当に楽しめました。
もう来年の箱根対決を楽しみにしながら、終わります。
ここまでお読みいただき、有難うございました。